環境省に“虚偽説明”か ペットの販売規制で業界団体 アンケートの回答誘導に続く疑惑浮上_1.jpg
子犬や子猫は8週齢(生後56〜62日)よりも前に親元から引き離されると、かみ癖やほえ癖などの問題行動を起こしやすくなる。このため現在、生後56日以下の子犬・子猫の販売を禁止するための法改正が議論されている

環境省に“虚偽説明”か ペットの販売規制で業界団体 アンケートの回答誘導に続く疑惑浮上_2.jpg
全国ペット協会(ZPK)は1回目のアンケートについて、「代表者またはそれに準じる方ではなく、回答資格者ではないスタッフが回答した事例が判明した」ことも再調査の理由として主張している。だが1回目(上)、2回目(下)ともに、回答者の役職や肩書などを書く欄はもうけられていない


 幼い子犬や子猫の販売規制強化が検討されるなか、業界団体が議論の材料となるデータを業界側に都合のいい方に誘導した疑いが出ている。この問題を巡り、業界団体が環境省に事実と異なる“虚偽説明”をしていた疑惑も新たに浮上した。環境省は調査には及び腰で、議論の信頼性が問われそうだ。

 動物愛護法は、幼い子犬や子猫を生後の一定期間販売できないように規制している。2013年からは生後45日、16年以降は49日まで販売できないようになった。この規制を56日(8週間)まで伸ばすことが議論されている。繁殖業者やペットショップなどは、コストや営業面で負担が増すなどとして反対している。

 ペットショップなどでつくる一般社団法人「全国ペット協会(ZPK)」は今年1月、規制強化に関わるアンケート結果を環境省にいったん提出したが、数日後に撤回。2回目のアンケートを実施し、3月に再提出した。ペット業界関係者によると、2回目のアンケートではペットショップなど業界側に都合の良い結果になるよう、回答が「誘導」されたという。

 今回新たに、ZPKがアンケートの再提出について、環境省に虚偽の説明をしていた疑いがわかった。

 中川雅治環境相は6月1日、閣議後の会見で、ZPKによるアンケート結果の差し替えについてこう説明している。

「1回目のアンケート結果は短期間で実施したので不正確な情報が含まれているため取り下げたいと申し出があって、了承した」

 だが、「短期間で実施した」というZPK側の説明は事実と異なる。

 朝日新聞の調べでは、1回目のアンケートは、昨年12月5日にZPK事務局が用紙を配布し始め、回答の締め切りは同月29日に設定されていた。最大25日間の回答期間があった。

 これに対し2回目のアンケートは、調査は2月19日から3月13日までで、最大23日間の回答期間となっている。2回目の方が回答期間が2日間短く、1回目のアンケートを撤回し再提出する理由にはなりにくい。

 ペット業界関係者によると、1回目のアンケート結果が、販売規制を強化しても「犬や猫の健康状態や社会性は良くなる傾向のほうが強い。経営への影響はあまりない」といった内容だったため、ZPKのある幹部の意向で急きょ差し替えが決まったという。ZPKをはじめとするペット関連の業界団体では、販売規制の強化によって「犬や猫の健康状態や社会性はかえって悪くなり、経営には悪影響がある」と主張してロビー活動を展開してきたが、「この主張と矛盾するアンケート結果が出たことに、ある幹部が激怒したのです」とペット業界関係者は明かす。

 中川環境相は会見で、「質問事項も違うということで、結果が違っているという説明もいただいておりまして」とも述べている。これについてもZPK側の説明には無理がある。

 1回目と2回目のアンケートの質問事項を比べると、規制強化に関する議論のカギとなる幼齢な子犬・子猫の「健康状態」や「社会性」に対する質問については、基本的に同じ内容になっている。表現について細かな違いはあるものの、「質問事項が違う」とは言い切れない。

 朝日新聞の取材では、ペットオークション(競り市)の現場で、2回目のアンケート用紙を担当者が配布する際に、回答の誘導とみられる行為があった。担当者が、

「前回は何日で出荷しても変わりないかのようなアンケート結果だったけど、みんな本当にわかってるの。負担が増えるし大変なことになるよ」

 などと呼びかけていたという。

 ペット業界関係者は朝日新聞の取材にこう憤る。

「ZPKの一部の幹部によって、組織の機関決定も経ずに、アンケート結果を改ざんするようなことが行われた。環境省にも実態と異なることを言って、アンケートを再提出することにした。ZPKにとってマイナスだし、ペット業界全体が社会的信用を失ってしまう」

 中川環境相は、今回の問題について「調査するということは考えておりません」としている。

 ZPKは朝日新聞の取材に対し、文書で回答した。

 アンケート実施期間に関する環境省への説明については、「虚偽の説明は致しておりません。1回目のアンケート実施期間は年末の繁忙期と重なっていたことから、回答者には実質的に短期間での回答を求めるかたちとなりました」などと主張している。

 中川環境相が「質問事項も違う」と話したことに関しては、「1回目と2回目では同じ設問、選択肢もございますが、より具体的に実態が把握できるように表現の変更や選択肢等の追加を行っています」とした。

 文書での回答を受けて朝日新聞はZPKに、「質問の趣旨が同じものが大半なのに質問事項が違うと事実と異なる説明を環境省にしたのはなぜか」などの事項について改めて尋ねた。

 ZPKは「回答を差し控えさせていただきたく考えております」としている。

週刊朝日 2018.6.21付記事抜粋





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