2018年は戌(いぬ)年。新年を迎えるにあたり愛犬をペットサロンに連れて行った人も多いだろう。最近はイヌのシャンプーや毛のカットを手がけるペットサロンで値上げが相次いでいる。トリミングを必要とする犬種が人気となる一方、イヌの美容師「トリマー」の離職率が高く人手が不足しているためだ。技術に見合った価格設定を目指す機運が高まっているのも影響している。

 「シャンプー材料やトリミング機器の値上がりなどに伴い料金を改定します」――。

 インターネットでペットサロンを検索すると、このようなお知らせを多く目にする。上げ幅は500〜1000円が中心だ。プードルを6千円で引き受けていた店で例えると、1〜2割高という計算になる。

7割が5年以内に離職

 トリマーの人数や離職率を示すデータはないが、一般的に専門学校を卒業した人の7割が5年以内に離職するといわれている。トリマーの派遣会社、ビート(横浜市)の田中哲也アニフル事業部長は「トリマーの人数のピークは90年代。このころは人数の多さで離職率の高さをカバーできていた」と振り返る。

 ただ、現在はトリマー不足。ペットサロンからビートへの17年の派遣依頼日数は16年に比べて16%増えた。ペットサロン経営のコンサルティング会社、ワンズアップ(東京・江戸川)の中島秀輔代表取締役は「少子化や大学の進学率向上で、専門学校に進みトリマーを志す人が減っている」と指摘する。

 人手が減る一方、サロンの仕事量は減っていない。トリミングが必要なトイプードルが人気だからだ。ペット保険を取り扱うアニコム損害保険が公表している「人気犬種ランキング」によると、07年のランキングは1位がダックスフント、2位がチワワでトリミングが必須でない犬種が人気だった。ところが10年以降は毛が伸び続けるため基本的にトリミングが必要なトイプードルが8年連続で1位を保っている。


ペットサロン値上げ相次ぐ 「美容師」の不足響く.jpg
(出所)アニコム損害保険。それぞれ前年に同社のペット保険 に加入した0歳の犬が対象


トイプードルは1回あたり6000円

 トイプードルのトリミング料金は一般的に6千円。標準のトリマーの腕で2時間かかる。

 ヘアカット専門店「QBハウス」と比較してみよう。10分間で税別1千円の値ごろ感で多くの人が利用している。単純に計算すると1分あたり100円の売り上げだ。一方、トイプードルは2時間で6千円のため1分あたりの売り上げは半分の50円にとどまる。

 ワンズアップの中島氏は「トリミング技術に対して適正価格とは言えない」と語る。ビートの田中氏は「日本のトリマーの技術は高いが、アジアの他の国と比べると半分程度の賃金だ。首都圏でも数年前まで最低賃金で働いていたトリマーが多くいた」と話す。

 時間あたりのトリミング料金の安さに人手不足が加わり、この2〜3年で価格改定に踏み切る動きが出てきた。ワンズアップの中島氏は「国内全体の2割程度の店舗が値上げに動いているのでは」と予想する。

 横浜市の人気ペットサロン、ハッピーハートも値上げした店舗の一つだ。同店はこの3年間でヨークシャーテリアを3千円から6千円に、マルチーズを5千円から6500円へと段階的に引き上げた。

 石橋久美子代表取締役は「値上げで3割のお客様は来なくなった。ただ、値段ではなく当店の技術、トリマーの人柄、お店の雰囲気が好きで来てくれる方が残るので、お店にとってはいいきっかけになった」と話す。頭数は減っても値上げ分で取り戻し、売り上げは増えたという。「値上げでトリマーの給料も少しずつ上がっている」(石橋氏)

 「2〜3週間ごとの来店なら1時間でシャンプー、カットが終わりイヌのストレスが少ない。一方、半年ごとの来店になると毛玉だらけで時間がかかり、イヌのストレスも大きい」(石橋氏)。ペットサロンの料金は値上がりしているが、こまめな利用がイヌのストレス軽減につながるようだ。

日経電子版 2018年1月11日付記事抜粋





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