最古の犬の絵か? 狩りやペットの歴史にも一石 サウジアラビアで発見、紀元前5000〜紀元前8000年とも_1
シュウェイミスにある岩絵の一つ。犬と一緒に狩りをする様子が描かれている。(PHOTOGRAPH BY HUW GROUCUTT)

最古の犬の絵か? 狩りやペットの歴史にも一石 サウジアラビアで発見、紀元前5000〜紀元前8000年とも_2
シュウェイミスの西にある岩絵。上は、犬と牛と人の形がわかるように示したもの。(PHOTOGRAPH BY MARIA GUAGNIN)

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岩絵が見つかった現場の様子。(PHOTOGRAPH BY ASH PARTON)

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4匹の犬が3頭のガゼルに襲いかかる様子を描いた岩絵。上は該当部分を示したもの。(PHOTOGRAPH BY MARIA GUAGNIN)


 サウジアラビア北西部に立つ、1人の狩人。周囲には何匹もの犬が集まっている。狩人は矢を取り出し、手にした弓につがえると、弦を引き絞り、近くにいた野生動物を仕留めた。狩人のそばには仲間の狩人たちがおり、おのおの弓を構えている。

 このような光景が、乾いた不毛な砂漠にそそり立つ岩山の壁面に彫られていた。今ではサウジアラビアと呼ばれる地だ。これまで発見された犬の絵では、これが最古だろうと調査チームは考えている。もっとも、それに異論を唱えている専門家もいる。

「描かれている人が野生動物の世話をしているのか、それとも狩っているのか、ひと目でわかりました」。ドイツの学術研究機関マックス・プランク歴史科学研究所の考古学者、マリア・グアニン氏はこう語る。同氏がサウジ観光国家遺産委員会の協力を得て集めた1405枚に上る岩絵の中には、6618もの動物が1匹ずつ描かれていた。

 サウジアラビア北西部の砂漠地帯、シュウェイミスとジュッバーで発見された岩絵に描かれていたのは、狩りをする人の手助けをする犬の姿だった。隣に彫られた人と比較すると、犬は中くらいの大きさで、鼻は短く、耳は立っており、丸まった尾を元気よく振り立てている。今日のカナーン・ドックに似ている。

 その昔、狩りをする際に人がどのようにして犬を使ったのか、その方法が描かれていることが興味深い。犬の体は、引きひもとおぼしきもので人につながれている。犬の首から綱のような線が、人の腰に伸びているからだ。ある絵では、弓を構えて矢を射る姿勢をとっている人の傍らに、ひもでつながれた犬が数匹いる。

最古の犬の絵か

 としながらも、紀元前8000年代半ば、もしくは紀元前7000年代に彫られた可能性も高い、とグアニン氏は考えている。作成時期を特定するには、さらなる証拠が必要になるが、その推定通り、岩絵が紀元前8000年代に彫られたと証明できれば、今回の岩絵が世界最古の犬の絵になるかもしれない。グアニン氏の発見は、考古学の学術誌「the Journal of Anthropological Archaeology」のオンラインサイトに11月16日掲載された。

「絵物語のようなものです」と語るのは、米国のスミソニアン国立自然史博物館の動物考古学者、メリンダ・ジーダー氏。同氏は今回の研究に携わっていないが、「これらの絵のおかげで、詳しいことが具体的にわかります」と評価する。

 ただ、ジーダー氏は今回の岩絵について、牧畜が存在したという最古の物的証拠と同じ紀元前5000年頃に描かれたと推測し、それより古いと主張するには無理があるという。同氏は2013年に発表した論文の中で、シリアの岩絵に描かれた犬の存在に言及している。その絵には犬の助けを借りて、人が大がかりな狩りをしている情景が描かれているが、現場付近で発見された骨を根拠に、その年代を紀元前3000年代と見ている。

太古のペット

 新石器時代に人が犬を飼うようになったことは、考古学者も昔から知っていた。ジーダー氏によると、人の住居の近くで約1万年前の犬の骨が見つかっている。だが、犬が人の狩りの手助けをしていたかどうかを示す確たる証拠は挙がっていない。

 シベリアでは、1万年前の犬の遺骨が見つかっている。発見したのは、古代の人間と動物、とりわけ犬との関係を専門に研究しているアルバータ大学准教授のロバート・ロージー氏だ。だが、これらの犬がどのような役割を果たしていたのか、彼にもわからないという。犬の遺骨は大切に埋葬されており、頭蓋骨は手つかずにまるまる残っていることから、食用にはされていなかったと見られる。

「犬のおかげで狩りが大幅にはかどったことは、民族誌学的に示されています」と、ロージー氏は話す。犬が飼われるようになった時期は、人が犬のおかげで狩りが楽になったのと同時期で、楽になったことで、より犬が飼われるようになったと推定できる。今回の岩絵に、ひもにつながれた犬が描かれているのは、いかにもありそうなことだという。「人は、ずっと昔から犬に対して愛情を抱いていました」

 グアニン氏も論文の中で、岩絵の犬が細部までていねいに彫られていることから、彫っている人が犬に対し強い愛情を抱いていたと思われる、と述べている。

 岩絵が彫られた時期に関してグアニン氏と意見を異にしているものの、ジーダー氏も、犬と人との強い絆が絵に表れている点では合意する。「岩絵が細かく描き込まれていることに感動しました。犬の模様も1匹ずつ違いますし、肩には皆、縞が描かれ、白い斑点も付いています。細部までリアルに描かれいて、実に見事です」

 グアニン氏のチームはジュッバーに戻り、紀元前1万年の昔、新石器時代の遺跡で調査を続行する予定だ。犬がその時代に存在した物的証拠を探すつもりでいる。

NATIONAL GEOGRAPHIC 2017/11/21付記事抜粋





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