坂本龍一『SELDOM-ILLEGAL 時には違法』

 坂本龍一氏の『SELDOM-ILLEGAL 時には、違法』を読んでいる。
 読んでいると言っても初めてではなく、もう何回も読んでいる。
 この本、年に… いや、そんなでもないな、数年に一度、ふと思い出しては読み返している。
 自分にとってなんか不思議な本。
 1989年に出版されているから、かれこれ20年近く読み返しているということか。う〜ん…
 この本を何で手に取ったのかよく憶えていない。
 しかも、こんなに読み返す本になるなんて思いもしなかった。
 ただ、手に取って初めて読んだ時のこと、最初の書き出しにショックを受けたのを今でもすごく憶えている。
『この連載のタイトルを「SELDOM ILLEGAL」に決めたんだけど…』
 って、えっ!?なにこれ!?ものすごい口語体でめちゃめちゃ話しかけてるよ!?
 大したことでもなんでもないことなんだろけど、当時の自分にはショックだったんだよなぁ。
 なんだよこのくだけた文章は!?ってね。
 読み出すとそのくだけた文章が坂本龍一氏の人となりを妙に投影しているように感じてすっごくハマりましたね。
 すぐそばに坂本龍一氏がいて、話しかけられているような感覚になるんですよ。
 話もすごく興味深いものばかりで、ぐいぐいのめり込まされます。
 読んでいると顔がにんまりしてしまう。


『この連載のタイトルを「SELDOM ILLEGAL」に決めたんだけど、ぜんぜん深い意味はなくて、LAで免許を取得しようと思って、友達に頼んで教習所の試験のテキストをもらったんだ。で、ばらばら見ていて、あるページにきたら、飲んだときには乗るな、と書いてある。だけど、もし飲んじゃって乗る場合には、これは覚えておいて欲しいというのが教習所のテキストに書いてあるのね。それ自体おかしいことなんだけど。で、表があって一杯はSeldom Illegal、二杯飲んだらMaybe Ikkegalで、三杯飲んだらもうちょっとIllegalで、四杯飲んだらほとんどIllegalね。その一杯とはなんぞやという定義が下にあって、一杯は何オンスかなんかなんだけど、それを計算してみたら、ビールのいわゆる日本の大びんってやつ一本分ぐらい。それで一時間以内はSeldom Illegalと書いてある。一時間で一本以内はSeldom Illegal。
 ということは、みんなそれで走ってるってこと。しかも捕まえてはいないわけ、Seldom Illegalでは。たまたま、なんか機嫌の悪い警官がそこにいちゃったら捕まるかもしれないけども、まあ、ほとんど捕まることはない。ということだから、LAというかカリフォルニアなんかではみんなそうやって走っているってこと。それが教習所のテキストにちゃんとある。面白いでしょ?ゲラゲラ笑った。で、さっそくタイトルに頂戴しました。』
(坂本龍一『SELDOM-ILLEGAL 時には、違法』本文より)


 こんな書き出しで始まる。
 飲酒運転は絶対にいけないことだし、飲酒運転による事故で悲しい想いをされた方がいて、こんな話で笑うなんて不謹慎だという意識はもちろんすごくあるんだけど、なんていうか、その発想っていうか、ギリギリの感覚がたまらなく好きですね。





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